長崎屋が閉店する。
閉店の告知は半年くらい前だったので
別に驚くということはないのだが、長年親しんだ店が
消えてなくなってしまうのはやはり寂しい。
子供の頃からいったいどれだけ足を運んだだろうか。
お正月、もらったお年玉を握りしめて欲しいおもちゃを買った。
月々のおこづかいを貯めて好きだったリカちゃんの家具シリーズを
少しずつ買い集めたのもこのお店だった。
欲しい物がなんでもある、そんな印象が強く残っている。
社会人になってしばらくたった頃から
だんだん欲しいと思える品物がなくなったような気がする。
何でもあるけど、欲しい物がない店。
それは何も長崎屋に限ったことではないのだけれど、
確実に客足は遠のいているようだった。
そして、倒産。
会社再建のための不採算店舗閉鎖。
30数年の歴史に静かに幕を下ろす日まであと1週間ほどとなった。
今日、何かめぼしい物はないかと出向いてみた。
半月くらい前には閉店セールといいながら
まだ商品は豊富に並んでいた。
今日はもうかなりの品薄状態だ。
閉店セールは半年近く前から始まっていて、
通常の売り出しとどう違うんだろうと、ずっと思っていたのだが
これだけ品物が減っているとさすがにもう最後なんだな、
という思いを強くした。
この店がなくなっても、たぶん私は困らない。
でも、品物はどこででも手に入るのだろうが、
子供の頃の思い出の場所は永遠に消えてしまう。
両親と一緒に買い物に来たこと。
欲しいおもちゃを手に入れて嬉しかったこと。
屋上のプレイランドで遊んだこと。友達とボウリングをしたこと。
一度なくなった思い出の場所は、もう二度と戻らない。
またひとつ、子供の頃の風景が消えてゆく。
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